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【西村博之を考察】あの"論破の秘訣"とは?ひろゆきの議論・テクニックを分析

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西村博之

インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を立ち上げ、現代の"論破王"として、どの名を轟かせる西村博之氏(以下、ひろゆき)。政治家や有識者、活動家らを次々に論理で打ち負かしていく彼のトリックとは、いかなるものなのだろうか。

この記事では前半で、ひろゆきのディベートテクニックや、そのトリックについてじっくりと考察。後半で、ひろゆき自身が考えている議論や論破について解説する。

【考察①】勝てる相手のみを敵に

基本的にひろゆきは、"自身が論理で打ち負かせる"と思える相手にしかディベートの勝負を挑まない。簡単に言うと、"必ず勝てる"と考える相手にしか勝負を挑まないのだ。

実際、「AbemaTV」などのインターネットテレビや民放でひろゆきは、論破を目的に登壇者全てに食って掛かる訳ではない。専門性が高く自身の知識が及ばないテーマに関しては一歩引いて質問する立場に回ったり、エンタメ性が強いテーマに関してはユーモアに富んだ切り替えしを行ったりと、扱う題材によって自身のスタンスを変えている。

こうしたひろゆきの態度は、議論だけではなく、ビジネスの領域でも変わらない。『1%の努力(ダイヤモンド社)』などの書籍でひろゆきは、"努力せず自分が勝てる分野で勝負するのが最善策”という旨の発言を何度も行っている。また、"勝てる相手との勝負で努力はいらないが、自分より強い者との勝負では努力が必要。なるべく努力はしたくない"などと、YouTube Liveでも語っている。

1%の努力

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  • 作者:ひろゆき
  • 発売日: 2020/03/05
  • メディア: Kindle版
 

【考察②】"事実"のみで論理を構築

ひろゆきの主張は、権威のある学説や論文、報道機関によるニュース、客観的な事実やデータ、また自明の理をベースにして、その論理が構築されている。

実際、ひろゆきは、「○○学者が発表した論文では~」や「仏紙の報道によると~」といった引用を表わす発言が多い。何かを主張する際は必ずと言っていい程、その主張を裏付ける根拠や、前提となる情報を議論の場で周知するのだ。

したがって、ディベート相手は(ひろゆきの)情報ソースの曖昧性を突いた切り返しが困難になり、結果的にロジックを崩すことが難しくなる。

これは逆説的に考えると、論拠となるソースが曖昧な場合、ロジックの破綻につながる可能性があるということ。そして、これを上手く活用するのが、正にひろゆきなのだ。

曖昧な情報に基づいた主張を展開する相手に対し、ひろゆきはしばしばその論拠を求めている。

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「数字などデータってあるんですか?」「それってあなたの感想ですよね?」

いわゆる、"(ひろゆきの)煽り"と呼ばれるこの手法は、ディベートの世界ではごくごく普通のこと。特にシビアなビジネスの世界では煽りでも何でもなく、ビジネスパーソンが考えるべき当然のことであろう。

【考察③】主張に潜む"断定的"な言葉から切り崩す

ひろゆきは、相手の主張に潜む断定的な言い回しから、論破の糸口を模索する。

その言い回しとは、「絶対に」「明らかに」「必ず」「全て」など、"物事にはっきりとした判断を下す"ような意味合いを持つ形容詞や副詞だ。こうした断定的な言葉を含む主張は、例外などを出されると、その論理が途端に崩壊する。さらっと聞き流してしまうような言葉を拾い、そこの仇を突くのがひろゆきだ。

また、これらの言葉を含む発言は主観に基づくケースが多く、論拠を示す数字やデータを求められた場合、とっさに切り返すのが難しい。

実際、ひろゆきの主張を観察してみると、「~の可能性がある」や「~とみられるケースがある」、「~かもしれない」など、"含みを持たせた言葉"が多く使われている。主張はやや抽象的になるが、常に言葉に気を配り、予防線を張っているのだろう。

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上記動画の冒頭を見ると、ひろゆきは、"キラキラネームの名付け親は頭が悪い"のではなく、"キラキラネームの名付け親は頭が悪い可能性が高い"と主張していることが分かるだろう。

そして、「今は読めない名前も多いけど、全員バカって言いたいの?」などとの意見に対してひろゆきは、「あくまで可能性が高いと言っているだけで、キラキラネームが悪いとは言っていない」とキッパリ話している。

【考察④】ポジショントークが強いられない

基本的にひろゆきは、討論番組を行う企業や、討論相手と利害関係が一切ない。このため、主催者側に忖度したり、ポジショントークを行ったりする必要がなく、自由に発言することが可能なのだ。

例えば、権威のある人が議論を行う場合、所属する学会や団体、企業側の立場を考えなければならないので、自身の発言内容や態度に関してさまざまな制約がのしかかる。

これに対し、ひろゆきは完全に独立した立場。分かりやすく説明を行うために卑近な例を出したり、わざと攻撃的な態度で発言したりすることもできてしまうのだ。

実際、学者が発言できないような卑近な例を用いてロジカルな主張を展開することで、討論参加者の笑いを誘い、場の雰囲気を自身に有利な方向に変えるシーンがよく見られる。

【考察⑤】相手に多くの情報を語らせる

"発言(情報)が増えれば増える程、主張に矛盾点が生まれる"

ひろゆきは、こうした議論の性質を巧みに活用し、相手を論破する。相手の主張に絡むさまざまな事柄について質問し、多くの情報を引き出し、そこから主張のロジックを切り崩すのだ。

以下の動画でも、ひろゆきは、「質問をしてその答えを聞いて、その答えのここ『おかしいんじゃないですか』と聞いていくと、いつの間にかその人の論理が成立しなくなることが目の当たりになることがある」などと発言している。

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ひろゆきの"議論&論破"に対する考え方とは?

そもそも、ひろゆきは議論や論破についてどのように考えているのだろうか。ここからは、ひろゆきが考える議論で必要な要素や、テクニック、論破の是非などについてそれぞれ見ていこう。

議論は勝ち負けを決めるジャッジがいる所で

ひろゆきが論破を繰り広げる舞台には、いつも"ある条件"が見受けられる。これは、議論の勝者を決定するジャッジの存在だ。『論破力(朝日新書)』などでひろゆきが語っているように、そもそも論破は"議論の勝ち負けを行うジャッジ"がいて初めて成り立つもの。このジャッジ(第三者)には、司会者やファシリテーター、各種プラットフォーム上のコメント主らの存在が挙げられるという。

論破力 (朝日新書)

論破力 (朝日新書)

  • 作者:ひろゆき
  • 発売日: 2018/10/12
  • メディア: 新書
 

誰にでも理解できる言葉で語る

「論破をした(された)を決めるのがジャッジ(第三者)である以上、議論では、中高生でも理解できるような簡単な言葉で語る必要がある」

ひろゆきの動画を普段よく見ている人は分かるかもしれないが、基本的にひろゆきは、難しい専門用語や横文字をほとんど使わない。あくまで、"説明を省ける便利な言葉"として考えているようだ。

老若男女が視聴者の討論番組では、登壇者だけではなく、視聴者のレベルに合わせて言葉を選ぶなど、分かりやすい形で説明することを心がけているという。

ひろゆき「論破をしている時点でニ流」

そもそも、ひろゆきは、"論破をしたいと考える人"に対し、「そもそも論破をしている時点で二流」などと話している。

また、「本当に自分の思い通りに他人を動かしたいのであれば、論破しているということが分からないように物事を説明して、"あたかもその人がやりたいかのように思わせる"ということが、もう一段階上の話」と発言。「論破というのが他人に見えている時点で二流だと思う」などと結論づけている。

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ひろゆきが"論破された?"過去の議論

では、現代の論破王こと西村博之が、逆に"論破"された例は実際にあるのだろうか。また、それはどのようなものなのだろうか。

以下は、ひろゆきに対し否定的なコメントが目立った動画の例だ。その一つが、星野リゾート代表との議論。ひろゆきは、新型コロナウイルス感染症の対策の一つとして、"GoToキャンペーンの廃止や観光業そのものの一時的な閉鎖"などを主張した。

(ひろゆきが)さまざまな切り口から説いたものの、代表は、発言内容に矛盾なく理路整然と返答。コメントには「珍しく神回。実業家の星野リゾートが出てくると、ひろゆきが霞んで見える」「ひろゆきに揚げ足取られないでちゃんと筋が通った意見いえるこの社長は超優秀」など、珍しくひろゆきに対する否定的なコメントが挙がっている。

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ひろゆきが"論破された"例として最も有名なのが、経済評論家、上念司氏と行った日本経済に関する議論だ。上念氏が展開するさまざまな持論などに対し、途中からひろゆきが反発。終始、(ひろゆきが)多角的な切り口で反論を繰り返すものの、上念氏はロジカルに答え続けた。

ひろゆき自身、"論破されていない"などと主張しているが、コメントではひろゆきに対する否定的なものが目立ち、珍しい形となった。

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(2021年3月現在)